事業系ごみは自分で運べる。ただし、運転手は自社の社員に限られる

公開: 2026-09-03|運営: ubusuna works

この記事の結論

運べる。廃棄物処理法第7条第1項のただし書は、事業者が自らその一般廃棄物を運搬する場合を許可の対象から外している。東京二十三区清掃一部事務組合はこれを「自己持込み」と呼び、処理手数料は1キログラムにつき17円50銭(税込)である。ただし運ぶ車の運転手は自社の従業員に限られ、親会社のごみを子会社が運ぶのは自己持込みにならない。廃プラスチック類や金属くずは産業廃棄物なので、この方法では出せない。

誰向けか: 事業系ごみの費用を下げたい、東京23区の店舗・オフィス・事業所の管理担当者

  1. 出したいものが事業系一般廃棄物か(廃プラスチック類・金属くずは産業廃棄物で、清掃工場には持ち込めない)
  2. 運ぶ車の運転手が自社の従業員か(自社の人が同乗するだけでは自己持込みにならない)
  3. ごみが発生した場所を所管する区の清掃事務所で、事前の申請が済んでいるか

委託の見積もりを見て、一度は思うはずである。自分で運べば、その分は安くなるのではないか。

運べる。東京23区の事業所から出たごみを自分で清掃工場へ持ち込む道は、制度として開いている。単価も公表されている。ただ、その単価には入っていないものがある。

17円50銭と46円

東京二十三区清掃一部事務組合(23区のごみを共同で焼却・処理している組織)は、廃棄物処理手数料を運び方ごとに分けて公表している。事業系ごみに関わるのは、この2行である。

手数料を払う人1キログラムあたり
事業系一般廃棄物を処理施設に運搬した者17円50銭
運搬施設を利用して事業系一般廃棄物を排出した者46円

上の行が、清掃工場まで運んだ場合。下の行が、運ばずに出した場合である。同じごみで、1キログラムあたり28円50銭の差がつく。区が公表している委託料金の上限も1キログラム46円で、その根拠は事業系ごみの料金には上限があるに書いた。

1トンに直せば28,500円の差になる。1日に50キログラム出る事業所なら、20日でおよそ1トンである。

ここまでは引き算にすぎない。引き算に入っていないのは、20往復ぶんの車と、20往復ぶんの人件費である。差額を往復の回数で割り戻すと、1往復あたりの取り分はこうなる。

1,425円

これより安く1往復できるなら自分で運ぶほうが安いし、できないなら委託のほうが安い。判断の軸は、単価ではなくここにある。

自ら運ぶなら、許可は要らない

事業系ごみを自分で運ぶことが認められている根拠は、法律の側にある。

事業者は、その事業活動に伴つて生じた廃棄物を自らの責任において適正に処理しなければならない。

廃棄物処理法第3条第1項。処理の責任は、ごみを出した事業者にある。委託は、その責任を果たす手段の一つでしかない。

運搬を業として行うには許可が要るが、条文にはただし書が付いている。

一般廃棄物の収集又は運搬を業として行おうとする者は、(略)市町村長の許可を受けなければならない。ただし、事業者(自らその一般廃棄物を運搬する場合に限る。)(略)については、この限りでない。

第7条第1項。自分のごみを自分で運ぶだけなら、収集運搬業の許可は取らなくてよい。 清掃一部事務組合はこれを「自己持込み」と呼び、許可業者が委託を受けて運ぶ「許可持込み」と区別している。

運転手が自社の社員でないと、自己持込みにならない

許可が要らない代わりに、境目は厳しく引かれている。

自己持込みにならない例

・自らの事業活動により発生した廃棄物以外のものを持ち込むこと
・親会社の廃棄物を、子会社や下請け会社が運ぶこと
・自社の従業員が同乗しているだけで、運転者が自社以外であること

3つめが見落とされやすい。運送会社に車と運転手を手配してもらい、自社の社員が付き添う——この形は自己持込みとして認められない。運転席に座る人が自社の従業員かどうかが分かれ目になる。

車そのものは自社所有でなくてもよく、その都度の持ち込みならレンタカーも使える。借りてよいのは車であって、運転手ではない。

その都度か、毎週か

持ち込みは頻度によって手続きが分かれる。

臨時持込み

社屋の移転などで発生したごみを、その都度運ぶ場合。ごみが発生した場所を所管する区の清掃事務所で車両と廃棄物の事前確認を受け、申請書を作る。手数料は施設で現金払い。複数の区から出たごみを混載して運ぶことはできず、区ごとに分ける必要がある。

継続持込み

おおむね毎週、定期的に運ぶ場合。承認を受けたい月の前々月末までに申請し、さらに申請の1か月前から毎週搬入している実績が要る。承認期間は2年まで。専用のICカードが交付され、これを携帯していないと搬入できない。手数料は原則1か月ごとにまとめて納める。

継続持込みの要件は順序が逆に見える。承認をもらう前に、毎週運んだ実績を作っておかなければならない。つまり最初の1〜2か月は、臨時持込みを毎週繰り返すことになる。

廃プラスチック類は、この方法では出せない

清掃工場が受け入れるのは事業系一般廃棄物である。事業活動に伴って出た廃プラスチック類や金属くずは産業廃棄物にあたり、清掃一部事務組合の処理施設には持ち込めない。

飲食店や小売店なら、生ごみ・紙くず・木くずは持ち込めるが、商品の包装フィルムやペットボトル、空き缶は別扱いになる。物ごとに行き先が変わる理由は、産業廃棄物と一般廃棄物の違いに条文から整理した。

受け入れる形状や寸法にも制限があり、受付時間を過ぎれば持ち帰りになる場合がある。ここは持ち込む施設ごとに違うので、清掃事務所で確認するしかない。

委託先は、思っているより多い

自分で運ぶという選択を、委託と比べるための材料も要る。

当サイトは各区が公表する一般廃棄物収集運搬業の許可業者一覧を転記していて、2026年8月30日時点で東京22区・5,406件を掲載している。これを区ごとに数えると、いちばん少ない杉並区で97社、いちばん多い江東区で320社。区あたりの中央値は259社だった。

どの区で探しても、200社前後の候補がある。相見積もりが取りにくいから自分で運ぶ、という理由は成り立ちにくい。掲載している会社は業者一覧から区名で絞り込めるし、条件が決まらないときは無料相談で伝えてもらえれば、合う会社をお伝えする。

そのうえで、自分で運ぶ意味が残る場面はある。移転や改装で一度に大量に出るとき、委託の定期回収では収まりきらない。そういう1回限りの山を片づけるのに、臨時持込みは向いている。

1往復1,425円。この線を自社の車と人でまたげるかどうかは、往復にかかる時間を実際に測ってみないと分からない。

出典


お住まいの地域の回収業者を探す → 都道府県別・業者データベース(公的名簿ベース)

その業者に許可があるか調べる