産業廃棄物と一般廃棄物の違いは、法律の条文では「引き算」で決まっている

公開: 2026-09-02|運営: ubusuna works

この記事の結論

廃棄物処理法第2条第2項は「一般廃棄物とは、産業廃棄物以外の廃棄物をいう」と定めている。まず産業廃棄物かどうかを決め、当てはまらなければ一般廃棄物になる、という引き算の関係である。産業廃棄物は「事業活動に伴って生じた」ことに加えて、施行令第2条が挙げる20種類のどれかに当たる必要がある。

誰向けか: 店舗・オフィス・工場から出るごみを、どちらの制度で出すのか判断したい事業者。

  1. そのごみは事業活動から出たものか(家庭から出たものは、どれだけ量が多くても一般廃棄物)
  2. 施行令第2条の20種類のどれかに当たるか(紙くず・木くず・繊維くずは業種の限定つき)
  3. 両方が出る事業所は、産業廃棄物の許可業者と一般廃棄物の許可業者の2つに委託先が分かれる

「会社から出たごみは産業廃棄物」と覚えている人は多い。実務ではこの覚え方が原因で、委託先を間違える。オフィスから出た紙ごみを産業廃棄物として出そうとして、引き取り手が見つからない——という形で表面化する。

条文の作りを見ると、間違いの理由がはっきりする。

一般廃棄物は「産業廃棄物ではないもの」と書かれている

廃棄物処理法(廃棄物の処理及び清掃に関する法律)第2条は、廃棄物を次のように定めている。

第1項は「廃棄物」そのものの定義である。

この法律において「廃棄物」とは、ごみ、粗大ごみ、燃え殻、汚泥、ふん尿、廃油、廃酸、廃アルカリ、動物の死体その他の汚物又は不要物であつて、固形状又は液状のもの(放射性物質及びこれによつて汚染された物を除く。)をいう。

そして第2項が、この記事の核心である。

この法律において「一般廃棄物」とは、産業廃棄物以外の廃棄物をいう。

産業廃棄物 以外

一般廃棄物には、独立した定義がない。**産業廃棄物を先に決めて、そこから引いた残りが一般廃棄物になる。**2つの箱が並んでいるのではなく、1つの箱を切り出した残りが、もう1つの箱である。

したがって判断の順番は決まっている。産業廃棄物かどうかを先に確かめる。当てはまらなければ、その時点で一般廃棄物である。

産業廃棄物になるには、条件が2つ要る

第2条第4項第1号は、産業廃棄物をこう定める。

事業活動に伴つて生じた廃棄物のうち、燃え殻、汚泥、廃油、廃酸、廃アルカリ、廃プラスチック類その他政令で定める廃棄物

読み落とされやすいのは「のうち」である。条件は2つあって、両方を満たす必要がある。

条件① 事業活動から出たこと

家庭から出たごみは、どれだけ量が多くても産業廃棄物にはならない。引越しで一度に大量に出ても、一般廃棄物のままである。

条件② 政令の20種類に当たること

施行令第2条が種類を限定して列挙している。ここに無いものは、事業活動から出ても産業廃棄物にはならない。

会社から出たという事実だけでは、条件①を満たしたにすぎない。②で落ちれば一般廃棄物である。この②で落ちたものが、事業系一般廃棄物と呼ばれる。当サイトが掲載している許可業者は、この事業系一般廃棄物を運ぶための許可を持つ会社である。

政令が挙げているのは、この20種類

廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令第2条は、第1号から第13号まで(枝番を含む)で種類を挙げている。条文の見出しに沿って並べると、こうなる。

号種類限定
一紙くず建設業・パルプ/紙/紙加工品製造業・新聞業・出版業・製本業・印刷物加工業に限る(ほかPCB付着)
二木くず建設業・木材/木製品製造業・パルプ製造業・輸入木材卸売業・物品賃貸業・流通用パレットに限る
三繊維くず建設業・繊維工業(衣服等の製造業を除く)に限る
四動植物性残さ食料品製造業・医薬品製造業・香料製造業で原料として使ったものに限る
四の二動物系固形不要物と畜場・食鳥処理場に限る
五〜九ゴムくず/金属くず/ガラスくず・コンクリートくず・陶磁器くず/鉱さい/がれき類限定なし(七はコンクリートくずのうち工作物由来を除く)
十・十一動物のふん尿/動物の死体畜産農業に限る
十二ばいじんばい煙発生施設等で集じん施設に集められたもの
十三上記を処分するために処理したものいわゆる13号廃棄物

これに、法第2条第4項第1号が直接名指しする燃え殻・汚泥・廃油・廃酸・廃アルカリ・廃プラスチック類の6つが加わる。

見落としやすいのは、上の3つ

紙くず・木くず・繊維くずには業種の限定が付いている。同じ紙ごみでも、印刷会社から出れば産業廃棄物、飲食店から出れば事業系一般廃棄物になる。物ではなく、誰が出したかで変わる。詳しくはシュレッダーの紙くずは6つの業種以外なら事業系一般廃棄物に書いた。

委託先が変わる。許可の種類が別だから

区分が変わると、頼める会社が変わる。産業廃棄物と一般廃棄物では、許可の制度そのものが別に作られているためである。

許可の対応

産業廃棄物 → 産業廃棄物収集運搬業の許可(都道府県・政令市が出す)
一般廃棄物 → 一般廃棄物収集運搬業の許可(市区町村が出す)

**産業廃棄物の許可では、一般廃棄物を運べない。**逆も同じである。両方が出る事業所——たとえば工場に事務所が併設されている場合——は、委託先を2つ持つか、両方の許可を持つ会社に頼むことになる。

マニフェスト(産業廃棄物管理票)も、産業廃棄物の制度である。事業系一般廃棄物にマニフェストの交付義務はない。

迷ったときに見る順番

  1. 家庭から出たか、事業活動から出たか。 家庭からなら一般廃棄物で確定する
  2. 事業活動からなら、上の表に当たるか。 当たれば産業廃棄物
  3. 紙くず・木くず・繊維くず・動植物性残さに見えるときは、自社の業種を確かめる。 業種が外れていれば事業系一般廃棄物
  4. 判断がつかないときは、事業所のある市区町村に聞く。 一般廃棄物の許可を出しているのは市区町村なので、その区分の判断も市区町村が持っている

事業系一般廃棄物の委託先は、市区町村が公表している許可業者一覧から選ぶ。当サイトは13都県34市区の名簿を許可番号つきで転記している。

出典


お住まいの地域の回収業者を探す → 都道府県別・業者データベース(公的名簿ベース)

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